極彩妖怪百物語

妖怪画家が、過去の怪画を怪説付きでご紹介。怪説は全て創作です。

2020-06-12から1日間の記事一覧

003 #砂かけ婆。

京都の竹藪に潜み、頭上から砂を撒いてくる。姿を見せないが、婆だと言う。婆がさらさらと砂をこぼしている。 砂はいつまでもこぼれ続ける。 乾いた髪の毛から流れでて洞穴のような眼窩に流れ込み口から再び外に流れ出す。 婆も砂で出来ているかのように、流…

002 #恙(つつが)虫。

噛まれると大変な虫。故に無病息災であることを「恙無し」と言う。 今は、ダニの一種の名称となっている。 ツツガムシ病。野山でツツガムシに刺されて2週間。悪寒と高熱が生じ、頭痛、筋肉痛、倦怠感に襲われる。全身に紅斑、紫斑が浮き、さらに眼の充血、…

001 #黒坊主

夜中にやって来て押さえつけ、呼吸を止め、悪夢を見せて寝苦しくする妖怪。同じことをする妖怪に、「黒玉」というのがいる。 悪夢を見たことがある。 木目模様の全身タイツを身に纏ったようなのっぺらぼうが、その顔を私の顔に押し付けて、「ふーーーーっ」…