極彩妖怪百物語

妖怪画家が、過去の怪画を怪説付きでご紹介。怪説は全て創作です。

2020-10-13から1日間の記事一覧

088 #ひょうすべ

陸で生活する河童の親類。 その昔、人足として秘術により命を吹き込まれた藁人形が、河童になったとも言われる。 人に害をなすところを見ると、良い使われ方をしなかったのか。 魔術も技術も同じ。間違って使ってしまえば、容易く主人に牙をむくようになる。…

087 #小豆研ぎ

沢の方から、ひっきりなしに、小豆を研ぐ音がする。 小豆を数えるのが上手だった小僧が、 殺されてしまい、その怨念とも言われる。 寺が近所になくても現れる。 音を頼りに探しに行くと、沢に落ちると言う。 「小豆磨ごうか、ヒト取って食おか」 と、歌って…

086 #海坊主

海への恐怖は、誰もが持っている。 人知の及ばない海底への不安、 人が生きていけない環境への恐怖、 にもかかわらず、人はそこから生まれ進化したのだという畏敬の念。だから海坊主は、世界中に現れる。 あちこちで人を飲み込み、船を沈める。

085 #後神

後ろ髪を引かれる、気持ちはこの妖怪が本当に後ろ髪を引っ張るから。道理で振り替えってしまうものだ。 この神様は、髪を引かれた当事者にしか見えないし、いつも背後にいるから、その姿を見た人はいない。 どんなに急いで振り向いても、後ろ髪をしっかり掴…