極彩妖怪百物語

妖怪画家が、過去の怪画を怪説付きでご紹介。怪説は全て創作です。

2020-10-11から1日間の記事一覧

082 #豆腐小僧

色が白くて水っぽく、角があるのに崩れやすい、放っておいたらすぐ腐る。今の子供のような妖怪。 売り余って畑に捨てられた、豆腐の幽霊なのか。

081 #蛇身の清姫

一心岩をも通す。 強い気持ちは、進化を逆行させ、 哺乳類の肉体を爬虫類まで引き戻し、 そこから新たな方向に進化させ、 巨大な、火を操る体を身に付けた。一世代、一身限りの超絶進化。 肉体への負担は大きく、彼女の行方は知れない。この非科学的な進化を…

080 #油舐め赤子

真っ赤な赤ちゃんが、 行灯の油をなめる。ずるずる。 灯が消える。赤ちゃんが光っている。 下にある、油差しの油を飲む。ごくごく。ダニの様に膨れ上がった赤ちゃんは、 ポンポンとお腹で弾んで部屋を出る。 廊下に続く丸い油の痕、ふと消える。

079 #ぬらりひょん

わたしゃ、何でもないものだよ。 あんたのお爺ちゃんでもない…。 そんな事ばかり言っているお爺ちゃんは、 家の奥の客間にいる。家族のみんなは、そこには誰も居ないという。そんな事は知らない振りをして、 僕は今日もお爺ちゃんに会いに行く。

078 #天井舐め

有名な空き家がある。 天井には色とりどりの不気味なシミがあり、屋敷の「ウリ」となっている。部屋の中央、シャンデリアの周りにはシミがない。このシャンデリアで、空き家の主だった画家が首を吊ったのだ。 噂では、天井の染みは、画家の幽霊が付けている…