極彩妖怪百物語

妖怪画家が、過去の怪画を怪説付きでご紹介。怪説は全て創作です。

2020-10-08から1日間の記事一覧

066 #山爺

誰も居ない山奥で、とんでもないものとすれ違う。 大きなヤシの木が跳ねているのかと思ったが、上に顔があった。 一瞬ですれ違い、もう居なくなった。 丸い足跡だけが残っている…。

065 #否哉 いやや

通学途中のデパートで、 いつもショーウインドーを熱心に除き込んでいる、 お洒落な女性が気になった。 何とか顔が見えないものかと、 すぐそばを通り抜ける。 ショーウインドーには何かの仮面がディスプレイしてある。シワだらけの爺の面だ。呪い用か。 仮…

064 #鉄鼠

頼豪阿闍梨は、まだ怒っている。 三井寺の奥で、比叡山を睨み付けている。 その身体は、芋虫のように蠢く鼠で びっしりと覆われている。 阿闍梨が怒りに震える度に、 鼠が十数匹、体を離れ、 比叡山に向けてまっしぐらに駆けていく。

063 #魍魎

子供の背格好をした鬼で、墓に現れ、遺体を掘り出して食べている。だから今は火葬が一般的になったのだとか。灰を食べたという話は聞かない。