極彩妖怪百物語

妖怪画家が、過去の怪画を怪説付きでご紹介。怪説は全て創作です。

2020-06-14から1日間の記事一覧

007 #ももんじい。

いきなり襲ってくる妖怪。街中だったり、山の中だったり。ももんがぁ!と叫んで走ってくることもある。怖い怖い。良くある話。 どの街にも必ず1人は居る、 叫びながらおってくる爺さん。 変人の類。祖父も父も、同じ爺さんに追われたという。 さて、 私が全…

006 #山彦。

向こうの山に向かって「ヤッホー」と言うと、向こうからも「ヤッホー」が反ってくるのがこの妖怪。向かいの山に、山彦が居た。 帰ってくる声は、たしかに自分が先刻発したものとは違う声だった。 ある日地震があり、山びこは向かいの山ごと姿を消してしまっ…

005 #野衾 のぶすま。

山で、ムササビのように飛んできて、頭をくるんでしまう妖怪。ムササビではない。ある山の話。 事故が多く、独りだと転落した。大体の場所も決まっていた。多発しているのに、誰も事故の瞬間を見たものは居ない。 また、遺体は大抵損傷が酷く何ヵ所も骨折し…

004 #しろうねり。

納屋などでカチカチになっているボロボロの手拭が、生きているかのようにぬるりと動き出す。ある絵描き、絵具用の雑巾に襲われた事がある。筆を拭いていたら、手首に巻きつきするすると首まで来たという。 引き離し、押さえつけて気付いた。これ本当は雑巾じ…